「ビジネス・フォー・パンクス(BUSINESS FOR PUNKS)」を書いたのは、イギリスでもっとも飲まれているクラフトビール「ブリュー・ドッグ(BLEW DOG)」の共同経営者であるジェームス・ワットなる人物だ。このブリュードッグはイギリスでクラフトビールブームの先駆けとなった会社だそうだ。(クラフトビール・・・大手のビール会社が量産するビールと対比して用いられるらしい。自分はこの本を読むまで知らなかった。)
よく買い物に行く大きめのスーパーマーケットにもブリュードッグが置いてあったので、それだけ一般レベルで普及しているということなのだろう。

僕はその昔、バンドをしていたことがあり、パンクロックも好きでよく聞いていた。
バンドをしていた時期から10年以上経っていて、最近はあまり聞いていなかったのだが、書店のビジネス書コーナーで「パンクス」の文字を発見して思わず買ってしまった。

本書は”ビール業界のパンクス”ジェームズ・ワット氏がブリュードッグの立ち上げから10年間してきた活動でつかんだノウハウを、起業論、財務、マーケティング、セールス、チームビルディングを章立てて語っている。
プロローグの「さあ、世界を変えてやろう」というタイトルからして相当アツいが、アツいのはプロローグだけではない。
全編にわたってアツいのだ。

著者はパンクスだけあって、本書の中にはジョーイ・ラモーンやマルコム・マクラーレンなどパンクスたちの名言が引用されている。
中にはウィンストン・チャーチルを「世界を救ったパンクス」と紹介していたり、古代ギリシャの哲学者ソポクレスを「パンクな悲劇作家」として紹介している。著者にとっては「世界を変えたヤツ」こそがパンクなのだ。

本書の中で紹介されているブリュードッグの企業活動で最も特徴的なのは3章「迷える子羊のためのマーケティング論」に掲載されている活動だろう。
ここではブリュードッグが実施したマーケティング施策をまとめている。

  • 車にはねられたリスの死骸をアルコール度数55%のビールのパッケージに使う
    (The End Of Historyというビールの宣伝)
  • ヘリでロンドンの上空を飛びながら、ネコの剥製をパラシュートで落とす
     (ブリュードッグが発行しているクラウドファウンディング「パンク株」の宣伝。メッセージは「Death To The Fat Cats(くたばれ金持ちども)」)

これらの他にも様々なマーケティング施策が実施されてきたようだが、どれもキモが座っていないとできないものばかりだ。
こういった過激な活動がオンラインでシェアされて、ブリュードッグの熱狂的なファンを増やしてきたとのこと。

本書の最後のメッセージが最高だ。このメッセージだけでも本書を買う価値がある。

本書でぼくは、人のアドバイスを聞くなと言った。それはここに書いたこと全てに無条件で当てはまる。
・・・中略・・・
参考するも、しないも好きにしてもらっていい。ただし、何か行動は起こしてほしい。
それから、とにかく楽しむことを忘れてはいけない。


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