これは「本を読む人」のための本である。「これから本を読みたい人」のための本でもある。つまり、「読む」ことによって知識を得、理解を深め、すぐれた読書家になりたいと思う人のために書かれた本である。

1940年に出版された、「本を読む本」(原題:How to read a book)は先に引用した第1部の最初の文章にある通り、「本を読む」ための技術、心得を記した本である。

目次は以下。

「本を読む本」目次

第一部 読書の意味

  1. 読書技術と積極性
    積極的読書
    読書の目的ー知識のための読書と理解のための読書
    「読む」ことは「学ぶ」ことであるー「教わること」と「発見すること」の違い
    教師のいる場合、いない場合
  2. 読書のレベル
  3. 初級読書ー読書の第一レベル
    読み方学習の諸段階
    段階とレベル
    高等教育と読書
  4. 点検読書ー読書の第二レベル
    点検読書1ー組織的な拾い読み、または下読み
    点検読書2ー表面読み
    読書の速度
    目の動き
    「理解すること」
  5. 意欲的な読者になるには
    積極的読書への四つの質問
    本を自分のものにするには
    書き込みの方法
    読書習慣を身につける
    多くの規則から一つの習慣へ

第二部 分析読書 ー 読書の第三レベル

  1. 本を分類する
    分類の重要性
    署名から何が分かるか
    理論的な本と実践的な本
    理論的な本の種類
  2. 本を透視する
    構想とプロットー本の統一
    アウトラインをつかむ
    読む技術と書く技術
    著者の意図を見つける
    分析読書の第一段階
  3. 著者と折り合いをつける
    著者の使う言葉に注意する
    キー・ワードを見つける
    専門用語と特殊な語彙
    単語の意味をつかむ
  4. 著者の伝えたいことは何か
    文および命題
    キー・センテンスを見つける
    命題を見つける
    論証を見つける
    著者の解決を検討する
  5. 本を正しく批評する
    学ぶことの効用
    修辞の役割
    判断保留の重要性
    けんか腰はよくない
    反論を解消する
  6. 著者に賛成するか、反省するか
    思いこみと判断
    著者の主張は、果たして妥当か
    論証は、果たして完全と言えるか
    分析読書の第三段階
  7. 読書の補助手段
    「経験」の役割
    他の本から手助けを得る
    注釈書や抜粋
    参考図書の使いかた
    辞書の使いかた
    百科事典の使いかた

第三部 文学の読みかた

  1. 小説、戯曲、詩の読み方
    文学を読むとき、してはならないこと
    文字を読むための一般法則
    小説の読みかた
    戯曲の読みかた
    抒情詩の読み方

第四部 読書の最終目標

  1. シントピカル読書ー読書の第四レベル
    シントピカル読書における点検の役目
    シントピカル読書の五つの段階
    客観性はなぜ必要か
    シントピカル読書の実例ー進歩の観念について
    シントピコンとその利用法
    シントピカル読書の原理について
    シントピカル読書のまとめ

  2. 読書と精神の成長
    良書が与えてくれるもの
    本のピラミッド
    生きることと精神の成長

日本人の読書 ー 訳者あとがきにかえて

目次をざっと見ただけで、読書に関してこれだけの事柄を書くことができるのか、と驚いてしまうが、何気なく行っていた読書にもこれだけの切り口というか細分化して解説するということができることが驚きだ。

1940年の出版時の文章を翻訳していると思うのだが、このブログの先頭で引用した文章に続く箇所で、以下のような記述があるのが興味深い。

ここに読書家というのは、情報や知識を主として活字によって得る人のことである。ラジオ・マスメディアの発達した今日であるが、このような習慣のある人たちこそ、本当の読書家と呼ぶにふさわしい。

活字離れは現在でも言われているが、70年以上前のアメリカでも同じようなことが言われているとは意外だ。

全体の構成に関して

第一部では、読書の意味合いを細かく分解して説明する。
読書をするにあたって読者に必要とされる能力、姿勢を説明。
普段本を読んでいる時に、本を読むこと自体が目的になってしまっていることがある自分としては「意欲的な読者になるためには」の項目中の四つの質問(一、全体として何に関する本か。二、何がどのように詳しく述べられているか。三、その本は全体として真実か、あるいはどの部分が真実か。四、それにはどんな意義があるのか。)を読んでいる間に問いかけ、自分で回答するということが重要である、という部分に気をつけて読んでいく努力をしようと考えさせられた。

第二部は、第一部で説明している点検読書のさらにレベルの高い「分析読書」の手法を三段階に分け、順を追って紹介している。
第一に「何についての本であるかを見分ける」、第二に「内容を解釈」し、第三に「知識が伝達されたか」を確認する。
そして自分で分析読書を行った後、参考図書や辞書、百科事典を用いて外部の本を使用しての「付帯的読書」の手法を紹介している。

第三部は小説などのフィクションの読み方を解説。フィクションを評価する時の、好き嫌いの評価から離れた客観性を持った審美眼を持つ読者になるための方法を説明している。

第四部は、分析読書よりもレベルの高い(読書の深度の深い)読書方法である、「シントピカル読書」を紹介。
シントピカル読書は、同一のテーマに関する本を複数読む方法だ。本書ではこの読書法を「読書の最終目標」としている。
これまでの第一部、第二部の点検読書、分析読書の手法を踏まえ、さらにレベルの高い読書を行うための手法を説明している。
ただ、ここで説明されている読書法は「読書の最終目標」と紹介しているだけあって、行う読者にもかなりの知識を必要としている。
これを実践できる人はかなりの読書経験を積んでいると言えるのではないか。それこそ、学者はこういった読書法をしているのでは(憶測)。

個人的な感想

この本を読んで一番印象に残っているのは、時間は有限であり、時間を費やしてでも読むべき本を見分けることが重要・・・ということ。これまでに自分がしてきた読書は、何か本を読んでいれば満足・・・みたいなところがあったが、もっと貪欲に「本を読むことから何かを得よう」という感想を持った。
ここで紹介されている、点検読書、分析読書だけでも相当役に立つ読書法ではないかと思う。


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