1997年に発表されたUKロック史に残る名曲、The Verve(ザ・ヴァーヴ)の「Bitter Sweet Symphony(ビター・スイート・シンフォニー)」。
僕がこの曲は初めて聞いたのは発表から2年ほど経った1999年でしたが、CDのライナーノーツに気になることが書いてありました。

それは、この曲の著作権はローリングストーンズのミック・ジャガー、キース・リチャーズが持っており、この曲を作曲したThe Verveのリチャード・アシュクロフトにはほとんど印税が入らない・・・という話。

当時の僕はそれを読んで物凄く驚いたんですが、なぜ作曲した本人が著作権を持っておらず、ローリング・ストーンズの二人が持っているのか非常に疑問でした。(と同時に、ミック・ジャガーとキース・リチャーズの二人を悪魔のようなヤツ!と認識していました)

なぜそんな話を今頃、20年近くも経って書くのかというと、最近ふと思い出して調べてみたところその理由が分かったからです。
長年の疑問が解決したんですね。(そんな疑問自体、20年近く忘れていましたが)

The Verve「Bitter Sweet Symphony」

先に書いた通り1997年発表のThe Verveのアルバム「Urban Hymns(アーバン・ヒムス)」の冒頭を飾る曲です。

この曲の印税がなぜ、ローリング・ストーンズに持って行かれたか(悪者扱い)ですが、結論から言うと、この曲のストリングス(弦楽器)の部分がザ・アンドリュー・オールダム・オーケストラがカバーしたローリング・ストーンズの「The Last Time(ラスト・タイム)」の一部をループして使用している(サンプリングしている)から、ということが理由です。

ザ・アンドリュー・オールダム・オーケストラ「The Last Time」

この記事ではミック・ジャガーとキース・リチャーズの二人を散々悪者にしてきましたが、ローリング・ストーンズ「The Last Time」の著作権を持ち、The Verveを訴えて多額の印税を手にしたのは、アブコレコードのアラン・クラインという人物でした。(ミック・ジャガー、キース・リチャーズのお二人に深くお詫びを申し上げます)

このアラン・クラインという人は、ビートルズ、ローリング・ストーンズのマネージャーをしていた人物でなかなか評判の悪い人です。ただ商才には長けていたようで、アラン・クラインが買収し改名したアブコレコードは今も存在するようです。

ザ・ヴァーヴ側はこの曲をリリースするにあたり、このカバーバージョンの使用許可を得ていたのですが、オリジナルの著作権に関しては許可を得ていなかったために、このような顛末になり「Bitter Sweet Symphony」がどれだけラジオやTVで流れようとも収益を得ることができなくなってしまったようです。(アラン・クラインから起こされた訴訟によって、作曲者のリチャード・アシュクロフトには著作権を譲渡した際にアブコレコードから支払われた1000ドルのみだったそうです。)

曲のリリースにあたり、ザ・ヴァーヴのマネージメント会社がアラン・クライン側に使用許可をきちんととっていれば、リチャード・アシュクロフトには著作権が残っていたのか。やっぱりアラン・クラインにうまいことやられて著作権を譲渡せざるを得ない状況になっていたのか。
この点は非常に気になりますね。

ちなみに今回のような曲の一部を使用することで新しい曲を作る「サンプリング」という手法ですが、ヒップホップ、ラップではスタンダードな手法で1980年代から使われています。

ただ、サンプリングと著作権(曲を作った人の権利)、著作隣接権(曲を演奏した人の権利)に関しては議論がある(あった?)ようです。
「Copyright Criminals」という映画ではまさにそのテーマを扱っています。

記事参考:
ザ・ヴァーヴの“Bitter Sweet Symphony”、あなたが知らないかもしれないトリビア10

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