Web制作に携わって10年あまり経ちましたが、Web制作と言えど、文章を書くこととは無縁ではありません。東京のWeb制作会社などはWebサイトのデザインやコーダー、コピーライターなど分業が進んでいると思うんですが、僕が仕事をしている福岡では特にWeb制作だと分業はあまり進んでいないな、というのが実感としてあります。(ましてや、企業サイドで広報業務を行なっている部署なんかだと、それこそ“デザイン系なんでも屋”みたいに業務が広範囲に渡って、少人数でやらないといけない…みたいになりがち。)

そんな経験の中でサイトやチラシのキャッチコピーをどうにか書いてきた訳ですが、ただ商品・サービスの説明を短くしただけのキャッチコピーだと、「へえ・・・」以上のリアクションが得られず、困った経験が多々ありました。

独学でキャッチコピーや文章の書き方を勉強していく上で、役に立った考え方をまとめて「キャッチコピーを作るときの考え方」としてまとめました。

これを意識するだけでキャッチコピーや文章が全然違うものになっていきます。

なぜ商品の説明だけではダメなのか?

自分がよくやっていたのは、商品やサービスの内容であるスペックや説明文を、
言い換えてキャッチコピーや説明の文章を書いていた方法です。
その場では、一応カタチになっているのでそれで良しとなるのですが、この方法ではお客さんに買ってもらったり、使ってもらう上で大事な点が抜け落ちてしまいます。

それは、お客さんの感情を刺激する表現です。

商品のスペックや説明文では、お客さんの感情を刺激することは難しいです。
自動車でもPCでも、スペックに反応するのはそれらに詳しい、一般的なレベルの人の知識からするとマニアックな人です。
ただ、マニアックな人でもスペックのみで欲しくなる人は少ないのではないでしょうか。

それでは“お客さんの感情を刺激する表現”とは、どういった表現なのかということですが、「その商品(サービス)を使うことによって得られる利益・便益」を指します。

これをマーケティング用語で「ベネフィット」と言い、先の商品のスペックなどの情報とは明確に分けて考えられます。
「ベネフィット」に対して、商品のスペックなどの情報は「メリット」と言います。

メリットとベネフィットの違い

一見、あまり違いがないように見える、メリットとベネフィットですが、整理すると以下のような違いがあります。

メリットとは

メリットとは、商品やサービスの特徴・性能です。
PCで例えると、「Intel Core i7プロセッサーを搭載、SSDは読み込みでで通常の約6倍、書き込みで約3倍と高速。メモリーは大容量16GB。」のようなスペックを指します。

ベネフィットとは

商品やサービスの特徴がもたらす利益・便益です。
数値に表せない抽象的な表現になります。
数値を伝えて納得してもらうこととは違って、読み手の感情を刺激することを目的とします。
先のメリットの例に倣ってPCの例を挙げると、「このPCを使えば、PCでの作業時間を短縮することができます!」のような表現になります。

ベネフィットはどういう人に向けて言うかで内容が変わる

メリットがそのように、比較しやすい基準になるのに対して、ベネフィットは個人の価値観に基づいた基準になります。
同じ高スペックのPCを選んでもらうにしても、事務系のソフトウェアを主に使う人向けのベネフィットと、デザインなどのグラフィック系の仕事をしている人向けのベネフィットでは、訴え方が全く変わってきます。


例>
事務系のソフトウェアを主に使う人向け
「このPCを使えば、PCでの作業時間を短縮することができます!

デザインなどのグラフィック系の仕事をしている人向け

「軽快な処理速度で、あなたのクリエイティブを加速します。」

同じスペックを持ったPCにしても、どう言う人に買って欲しいかによって表現を工夫する必要があることが分かると思います。

また、メリットは細かいスペックを指しているので専門用語が多く、PCに詳しい人は選ぶ際の基準にすることは簡単ですが、詳しくない人にとっては正直なところ、何を言っているのか分からない場合が多いです。

だからこそ、そのスペックがあれば(メリット)、どんなことを実現することができるのか(ベネフィット)を伝える必要があるのです。

メリット(=スペック)推しの問題点

世に出ている多くの製品に言えますが、メリット(製品のスペック)を強みとして推し出している製品は価格競争に陥りやすく、時間が経つほど、他社の技術的な進歩によって普通の製品になってしまいがちです。
それこそ家電量販店で売られているPCを見れば分かりやすいかと思います。

目安にしている基準が分かりやすいものであればあるほど、技術的にも改善しやすいとも言えます。

ベネフィットは“分かる人には分かる”

それに対しベネフィットは数値で表現しにくく、抽象的な物言いになりがちなので、“分かる人には分かる”表現になります。

先のデザインなどのグラフィック系の仕事をしている人向けのベネフィットを訴えるキャッチコピーでは、グラフィックに無縁な人には何が良いのか分かりません。
でも、グラフィック系の仕事をしている人には分かりやすいのです。

自分に関係のあることに感じてもらう=ターゲットを狭める

ベネフィットを伝えることを考えると、自然と伝える人(以下、ターゲット)が狭められていくことが分かると思います。
これは商品やサービスを知ってもらう上で非常に大切な考え方です。

商品もサービスも、たとえどれだけ多くの人に区別なく宣伝したところで、本当に必要だと感じた人しか買って(使って)くれません。

ベネフィットを伝えることは、「これはあなたに必要なものですよ!」と伝えているということです。
短い文章で、他人事ではなく、自分に関係のあることを言っているのだと感じてもらうことが重要です。

特に、Webサイトでいうと検索の結果に表示される文章は、ページのタイトルで32文字(それ以上の文字は「…」と省略されます。)、ページの説明文(スニペット)で250文字ほど。
少ない文字数で、自分が知っていて役に立つことであることを伝えて、ページを開いてもらうという行動までとってもらうことを目的に作成する必要があります。

そうなると限られた文字数でベネフィットを伝えることが有利であることはハッキリしています。

ベネフィットを短い文章で伝えるために考えるべきこと

ひとことで言うと、「その商品・サービスがどういう悩みを解決するのか」を書くことです。ファッションなど、悩みを解決する目的で購入するように思えない商品であれば、それを身に付けることでどういう風に見られるか、などの考え方もできます。

繰り返しますが、ただ単に商品やサービスの説明(メリットを伝える)をすれば、お客さんがベネフィットを感じて買ってくれる訳ではありません。

どういうことを伝えれば、お客さんがこちらの望ましい行動に出てくれるのか、ベネフィットをしっかり考えましょう。

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